高校における数学Vの授業では、『微分法』のあと『微分法の応用』をやってはいけない


 タイトルから見て、「えぇっ!? そんなバナナ!」と思った方もいらっしゃるかもしれません。数学Vの教科書には、『微分法』のあとに、『微分法の応用』があるのだから、普通はこの通りに進めるではないですか。でも、この通りに進めてはいけないのです。

 もちろん、やってもいいのです。ただ、高校3年の1学期に、数学Vにおいてこれを終わらせておかないと、難関大学理系学部への現役合格は無理、というのがあります。その単元をやる時間を取れなくなるくらいなら、(『微分法の応用』を)やってはいけないのです。

 その、高校3年の夏休みを迎えるまでに、終わらせておかなければならない数学Vの単元は……


















『積分法』


























 ……です。

 これは、『受験研究舎 リュケイオン』のホームページからアクセスできる、『β愛好会』の掲示板で、新矢先生がお書きになられた記事から、管理人が断言できることです。2008年の5月ごろ、立教大学理学部化学科を第1志望校としている高校3年の男子生徒が掲示板に書き込まれた内容が、「高校3年の夏休みを迎えるまでに、数学Vの教科書内容の授業が終わらない」という内容でした。新矢先生の返信は以下の通り。原文ママです。

 ここは非常に重要なことなのですが、「1学期中に『積分の応用』は無理でも『積分計算』は終るのか?」ということを学校の先生に確認してください。
 積分計算が終っていれば、夏休みは入試頻出の面積などの積分の応用の基礎演習は自分でできます。
 もし1学期に積分計算が終っていないようであれば、貴重な夏休みに入試頻出の積分の応用が練習できなくなり、現役合格はかなり苦しくなってしまいます。

(以上、引用終了)

 数学Vにおける『微分法の応用』『積分法の応用』は、その基本的な考え方は数学Uで学習済みなので、微分計算と積分計算さえマスターすれば、数学Vの教科書内容の学習はほぼ終了、とまで、『受験研究舎 リュケイオン』のホームページ上では断言しています。そして、どんなに遅くても、高3の夏休みに、数学Vの入試問題の演習が可能なまでに引き上げないといけないとも主張されています。

 案の定、先の質問に対して、「高3の1学期には『微分法の応用』までしか終わらない」という回答でした。夏休みに積分計算の先取りをしようかと相談したところ、それに新矢先生が待ったをかけました。夏休みを迎えるまでに『積分計算』をマスターせよ、と……。


 数学Vの微分積分では、微分法→微分法の応用→積分法→積分法の応用という学習順が一般的ですが、

 微分法→積分法→微分法の応用→積分法の応用

 このように授業を進めていっても、支障なく授業を進めることができます。むしろ、微分計算と積分計算が終われば、微分法、積分法の応用の教科書レベルの問題は、独習で何とかなってしまいます。高校3年の夏休みを迎えるまでに、微分法と積分法を終わりにして、その応用の教科書の問題程度は、夏休みの宿題として出しても構わないわけです。そうすれば、大幅に授業時間を節約できるとのことです。

 管理人は千葉県立千葉高等学校の卒業生ですが、数学の授業では、高校3年の1学期に、『微分法の応用』を終わりにすることができませんでした。微分法の方程式・不等式への応用が残ってしまったのです。2学期はその部分の補遺をした後、数学Cの『2次曲線』、そして積分計算をサラッとやるような授業でした。本来は積分計算は微分計算以上に時間がかかるものなのですが、積分計算については、生徒たちは予備校で何とかやっているだろうということを前提とした授業だったのです。つまり予備校に頼り切っていたということ。そして予備校の教えない、『ロピタルの定理』『テイラーの定理』『写像』『1次変換』『微分方程式』など、受験勉強においては毒にしかならないようなことを、千葉県立千葉高等学校の授業ではやっていました。予備校の甲斐あって難関大学の入試を突破した卒業生ですら、千葉県立千葉高等学校の進路指導部には、『高校の実績』として伝家の宝刀のごとく振り回されていたのです。ここまでくると、開いた口が塞がらなくなります。


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