『数学V』の問題点


 大学の理系学部の入試で大きなウエイトを占めるのは数学Vです。
 数学Vの教科書内容が終わるのは、授業の進度が速い高校で高校3年の10月末ごろです。

 大学入試の問題は、教科書を勉強したところで太刀打ちできるものではありません。当然、受験用の勉強が必要になります。ところが、国公立大学の場合、1月中旬にはセンター試験を控えているため、11月以降はセンター試験対策に時間を割く必要があります。当然その時までに、2次試験対策はある程度のめどをつけておく必要があるのです。

(もっとも、高校1年、2年でセンター試験対策をやるという万全の方法をとるのだというのなら、話は別なのですが、2次試験対策をやればセンター対策などすぐにできるという“バカ”な予備校の教師に教えられている生徒のことを考えてこのことを言っています)

 ことに難関大においては、数学Vが出題の4割を超えることもあります。現役で難関大学に合格するためには、他教科との兼ね合いなどを考えると、8月末までに数学Vの少なくとも微分積分の入試標準問題をどれだけこなせるかが、勝負の分かれ目となってしまうのです。学校の進度ではお話になりません。

 数学Vは独学で進めなければ、受験勉強のスタート地点にも立てない!

 ……と認識してください。

 もっとも、同じことは旧課程生にも言えたことで、理系にとって数学Vと理科の先取り学習は避けて通れません。
 旧課程では数学Vも数学Cもやったこと、旧課程から行列が消えて複素数平面が加わったことを考えると、現課程の数学Vで学習する内容・分量は、旧課程の数学V・Cと比べてそれほど変化していないのですが、現課程になり数学Vの学習の負担は大きく増えたといわざるをえません。
 以前に述べたように、高校2年で学習する数学Uの分量が増えてしまったせいで、旧課程生と現課程生とでは、高校3年の4月における数学Uの定着度が違うからです。また、理科の専門科目(物理や化学)でやることが格段に増えてしまったせいで、旧課程生と現課程生とでは、高校3年における数学・理科の学習時間のバランスが違うからです。

 数学Vでは、数学Uで学習した三角関数や指数・対数関数、それらが合成された関数の微積分を学習します。
 数学Uの教科書に書かれていることは、数学Vにとっての常識であり、数学Uがわかっていないと、数学Vへは一歩も進むことができません。
 また、千葉県立千葉高等学校では高校3年にて数学Vを週6コマ、物理を週4コマ、化学を週4コマと、明らかに理科に対するウエイトが大きすぎます。下手をすると、物理や化学を週5コマこなすなんて高校もあるかもしれません。数学なんて3年にわたって週6コマで変わらないのに、理科の授業数は格段に増える、これでは落ち着いて数学を勉強していられないですよね。

 まずは『受験研究舎 リュケイオン』のホームページへアクセスして(『リンク』ページからアクセスできます)、『数学Vに最小限必要な数学U』『速攻数学V 極限・微分法とその応用』『速攻数学V 積分法とその応用』を購入してみることをお勧めいたします。高校3年の4月を迎えるころには、これらの内容をすべて終わりにするくらいがちょうどいいとのことです。高校3年では、理科の負担が明らかに大きいのですから。


まとめ

 最大の問題点は理科教育です。数学Vはやること多くありません。数学Vを数学Vと数学Cに分けるというのは、根本的に間違っているのです。

 京都大学が数学Cを文系学部の試験科目に加えると発表したら、どう責任を取るのでしょうか?


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