『生物基礎』『地学基礎』を1年生で履修させる千葉県立千葉高等学校の不可解なカリキュラム


 先日、千葉県立千葉高等学校の文化祭に行ってきました。そのパンフレットに、『裏中間試験コーナー』というのが載ってありました。単刀直入に言えば、生徒たちの日頃考えていることを調査する、アンケートという一種のお遊びのようなものです。管理人が千葉県立千葉高等学校の生徒だったときもありました。2017年の文化祭にて、とんでもない記事を目の当たりにしました。

問題:千葉高に新しい科目が追加されたよ! なんだろう?

解答例:地学基礎基礎 ←難しいもんねー(白目)

『地学基礎』というのは、千葉県立千葉高等学校では1年生で学習します。管理人の時も1年生は生物と地学、2年生では物理と化学をそれぞれ初歩的なことをやり、3年では物理と化学を徹底的にやったのです(理系は2つ。文系は1つ)。で、今回のアンケートでは、あまりの難しさに『地学基礎』の基礎を開設してほしいなどと願望を張るといった有様です。

 断言しましょう。

 大学入試における地学の問題は、決して難しくありません。筑波大学の問題なんか、かなり簡単なほうだと思います。物理や化学に比べると、地学を選択するものが大変少ないのです。ですから、地学の問題は徹底的に基礎に重点が置かれます。地学は簡単なのです。

 では、なぜ高校1年生の生徒たちは、地学が難しいと叫んでいるのでしょうか?

 管理人の時代では、1年生でたしか地球の公転を学ぶために、円運動や万有引力についてやったような気がします。物理の力学については一切授業で触れていませんよ? だいたい力学というのは、まず平面運動や斜面運動、放物上に描く運動などをやって、それから円運動や万有引力、単振動という流れになるのです。
 地震におけるP波、S波についても同様です。波の伝わる速さなんていうのをやっても、波の速さは波の振動数と波長を掛け合わせたものに等しいという、物理の基本をやらずに地学で扱おうとしています。飽和水蒸気量についてもそう。気体の圧力、体積、温度の間には密接な関係があるのにもかかわらず、物理の基本をやらずして地学の授業で無理やり覚えさせようとしています。1年生にしてみれば、何を言っているのかチンプンカンプンになってしまいます。
 というか、千葉県立千葉高等学校の地学の教師が放った名台詞(『数学T』『数学A』の問題点、という項もご参照ください)にこんなものがあります。

 じゃあ、今までは物理なので、残り10分、地学をやりましょうか。


 ツッコミを入れましょうか。教師たちもわかっていたのですね。千葉県立千葉高等学校のカリキュラムは滅茶苦茶、いい加減です。


 物理やってねーのに、地学やってんじゃねーよ!!


 生物基礎についてもそうです。生物基礎の最初のほうでは、DNAのことについて学習するのですが、アデニンやシトシンというのは、高分子化学と密接にかかわりがあります。生体内の反応について学習するためには、まずその基礎となる(とくに有機)化学反応について学習しなければなりません。酵素と反応速度についても、化学というのを学習せずに、管理人の時もそうでしたが、1年生で現場調達的に学習させられていました。おかげで管理人の場合、生物は赤点連発でしたね。
 もっとも、生物や地学というのは、暗記要素が強いので、物理に比べるとはるかに短期間で成績が上がります。だから、勉強が楽しくなってきやすい科目なのです。でもそれって、物理や数学、とりわけ英語から逃げる言い訳にもなりえるのです。


 ぶっちゃけた話、生物や地学なんてできなくても、理系ではやっていけます。医学部医学科を受験する場合でも、物理と化学で2次試験に挑むという選択肢もあるのです。千葉工業大学の生命科学科というところでは、生物がたとえ高校時代にできなかったとしても、物理と化学ができさえすれば、授業についてこられると言ってもいいくらい、物理と化学が重要なはずです。

 千葉県立千葉高等学校の授業は、“落ちこぼれ”か“オタク”を増やすことに他ならなかったのです。


 ですから今、高校1年生で『生物基礎』『地学基礎』を履修させている高校は、かなり危ないと思わないとダメです。とくに『生物基礎』については、有機化学の知識がないと、最初から授業がわからないという事態にもなりかねません。高校1年の段階でこけたら、高校2年から挽回することは絶対に不可能です。難関大入試の前に、まず教科書内容を理解させることを優先して考えるようにしてください。

 地学はいいので数学やってください。


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