開成中学・高等学校や灘中学・高等学校は、中学数学を1年ちょっとで教えきる


 タイトルから見て、「えぇっ!? そんなバナナ!」と思った方もいらっしゃるかもしれません。中学1年生の段階で、中学3年生の内容を教えるとかザラなのです。
 まずは、下の画像をご覧ください。これが開成中学や灘中学の1年生の数学のプリントだと思ってください。



 実はこの画像、『Go! プリンセスプリキュア』第10話のアバンなのです。主人公春野はるかが、悪戦苦闘している問題。実は彼女、中学1年生ですからね。y=axという中学3年生の内容のプリントをやっていること自体、ノーブル学園って無茶ぶりなのです。

 でもそれをやっているのが、開成中学とか灘中学。

 以前の項で、中高一貫校は、高校2年までに高校内容を全部終わらせていると書きました。そうなると、中学3年生が終わるまでに高校1年生の内容を終わりにしないといけないので、中学内容は2年間で教えるのが常套手段だと書きました。しかし、実際のところは1年ちょっとだったのです。
 なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか?

 和田秀樹様の著書、『公立小中高から東大に入る本 本当の学力が身につく勉強術(幻冬舎)』の220ページに載っています。灘中学の数学の教師が、こう話しています。

「君たちは、いちおう灘中に合格したくらいやから、中二や中三の教科書を見ても、そうむずかしいとは思わんやろ。しかし、高校で習う数Tは、むずかしいぞ。中学の数学が簡単やからといって、タカをくくっとったら、高校の数学はついていけんようになる。だから、うちでは中学三年間の教科書は一年ちょっとで教えるけど、高校三年間の教科書は四年かけてじっくり教える」

 なるほど、このやり方なら、中学2年生から高校2年生までの4年間で、高校数学に着手することができますね。

 しかしこの教師の発言、なんかしっくりこないですね。もう少し、中学の段階で生徒に覚悟を決めさせるのなら、最後の文は……

「だから、うちでは高校三年間の教科書を四年かけてじっくり教えられるように、中学三年間の教科書は一年ちょっとで教えきる」になるはずだろ!


 そしてこれは、和田秀樹様が灘中学に在籍していた時の話で、当時の中学校の学習指導要領では、「中学3年生の段階で三角比(現在の数学T『図形と計量』)をやる」という無茶ぶりだったのです。中学数学の内容が濃密だっただけ、高校数学の密度は相対的に薄くなっていたのだけれど、それでも中学と高校とでは雲泥の差があったということです。

 今ではその差がさらに大きくなっているのですから、何を言わんこっちゃです。中学の時に中学の数学の教科書を馬鹿正直にやっていたのでは、大学受験どころの話ではなくなってしまいます。

 高校に入学するや否や、数学で落ちこぼれてしまいかねないのです。


 おまけ。中学と高校とでは、英語も雲泥の差があります。和田秀樹様の講演をご覧ください。3分20秒あたりから4分12秒あたりまでで、いかに中学と高校とで雲泥の差があるかがお分かりいただけるかと思います。




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